
地上戦セールス:客先の沈黙を開発へ持ち帰る
客先の沈黙を開発へ持ち帰る。 セールスの仕事は、うまく話すことだと思われがちだ。 けれど、EEGで必要としている地上戦のセールスは、話す人である前に、現場の反応を正しく持ち帰る人だ。 ネットで資料を見せる。LPを作る。広告を出す。問い合わせ…

EEG Editorial
Content Team
AIがプログラム開発をするパラダイムシフトが起きたことにより、プログラマーのメンタルマネージメントはとてつもなく困難なものになった。 トップエンジニアにとって、今まで自分がどのレベルのコードを書いているかは自明のものだった。今まで自分が築き上げてきたノウハウと経験が、あからさまにコードの良し悪しや、リリースまでのスピード、品質にダイレクトに反映する世界だったからだ。 だが、AIがプログラム開発をサ…
AIがプログラム開発をするパラダイムシフトが起きたことにより、プログラマーのメンタルマネージメントはとてつもなく困難なものになった。
トップエンジニアにとって、今まで自分がどのレベルのコードを書いているかは自明のものだった。今まで自分が築き上げてきたノウハウと経験が、あからさまにコードの良し悪しや、リリースまでのスピード、品質にダイレクトに反映する世界だったからだ。
だが、AIがプログラム開発をサポート、ひいてはリードするようになって、トップエンジニアたちは、今までのキャリアを全否定されるような心境に追い詰められている。
ろくにアルゴリズムもデザインパターンも基礎的な文法記法でさえ知らない自称ハーネスエンジニアたちが、数日や時には数時間で、そこそこ動くほぼ必要十分なプログラムを自慢げに披露するたび、トップエンジニアたちは全身を鋭利な刃物でメッタ刺しにされたような痛みを心に受けている。
彼ら彼女らが無邪気にAIと戯れて作るものは、非エンジニアで構成されるクライアントたちの、驚きに満ちた賞賛を独占する。
そう、今までぼくたちエンジニアが過去数十年に渡って独占してきた、輝けるダイヤモンド鉱山は、ここ数年のAIの進化によって陳腐化してしまった。まるで人工ダイヤモンドの普及によって価値を失った天然ダイヤモンドのように。
もはやプログラマーは無視すべき面倒臭い独善的な変人でしかない。
今まではそれでも、なんとか自分たちのアイデアを形にするために、ご機嫌をとってエンジニアたちのワガママに耐えてきたが、もうエンジニアたちに媚びへつらう必要もなくなった。
必要なものはAIが作ってくれるし、なんなら何を作れば良いかさえ、AIが教えてくれる。
そんな時代の自称スキルフルなエンジニアたちに向けて、自分自身のメンタルマネージメントの奮戦記を通して、何かしらの希望を見つけられたら、と思い、この連載を始めることにした。
これは、ぼく自身の矜持復権の物語でもある。
ぼくはIT受託開発の会社を30年以上経営してきた。エンジニアの強さも、弱さも、面倒臭さも、誇りも、たぶん普通の人よりは近い場所で見てきたつもりだ。だから、AI時代になって「もうエンジニアはいらない」と雑に言われる空気を見ると、腹が立つ一方で、反論しきれない痛みもある。
たしかに、ただ仕様を待って、ただコードを書く仕事は変わる。そこにしがみつくだけなら、AIのほうが速い。しかも文句を言わない。疲れた顔もしない。深夜に仕様変更を投げても、たいていのAIは怒らない。
でも、それでエンジニアの価値が消えたとは思っていない。
消えたのは、コードを書けることそのものが希少だった時代の優位性だ。代わりに残るのは、何を作るのかを決め、どう動く形に落とし、誰に使われ、どう改善し、どこまで責任を持つのかという、もっと逃げ場のない領域だ。
EEGで作ろうとしているのは、そこから逃げない開発会社だ。
7割は、サービスをゼロからリリースまで作れるエンジニア。3割は、セールス、マーケター、UI/UXデザイナー、資金調達、経営のプロ。7割が作りまくり、3割が売れる形、広がる形、使われる形、資金が集まる形へ磨いて世に出す。
ただし、主役はあくまで作った本人でありたい。
セールスは、ネットでは届かない客先へ足を運び、対話と信頼で導入まで進める。マーケターは、SNSだけでなくLP、Web、検索、広告、コミュニティまで使い、認知と需要を作る。UI/UXデザイナーは、画面だけでなく、ブランド、言葉、信頼感、体験全体を整える。資金調達と経営のプロは、売上、粗利、継続率、CAC/LTV、資金繰りを見て、全部の要素を数字的な成功へ近づける。
それでも中心にいるのは、最初に作った人だ。
受託のように納品して終わるのではなく、基本はレベニューシェアで、リスクもリターンも引き受ける。作ったものが使われなければ、ぼくたちも儲からない。だからこそ、作る人は事業の外側に逃げられない。きつい。でも、そのきつさの中に、AI時代のエンジニアがもう一度矜持を取り戻す場所があると思っている。
AIに折れた日があるなら、それでいい。
ぼくにもある。自分が積み上げてきたものが、急に古びた道具箱のように見えた日がある。若い誰かがAIと数時間で作ったものを見て、25年分の経験が、どこかに置き去りにされたような気持ちになった日がある。
でも、そこで終わりにしたくない。
傷を舐め合うだけの場所を作りたいわけではない。過去の栄光を守る避難所を作りたいわけでもない。AI時代に、もう一度サービスを作り切る場所を作りたい。自分の手で作り、自分の名前で世に出し、ユーザーの反応を受け止め、仲間と一緒に磨き続ける場所を作りたい。
これは、ぼく自身の矜持復権の物語でもある。
そして同時に、同じように一度折れたエンジニアが、もう一度作る側へ戻ってくるための物語にしたい。